生物の授業中、思いっきり爆睡していた九龍が、起きるなり青い顔をしてこう言った。

 

「………どうしよう、甲ちゃん………。オレ、ものすんげぇ怖いもの見ちゃった………」

 

その顔がいつになく真剣で、もしや生徒会の知られてはならない秘密の現場でも目撃されたのかと、 珍しく教科書を開いていた皆守がノートを取る手を止める。

 

 

「―――――何を見たんだ?」

 

「………………あ、阿門が………………、」

 

「………阿門が?」

 

 

半ばタブーともいえる男の名前に、二人の間の空気が一瞬にして張り詰める。

こちらに背を向けてカツカツと板書をする老教師の声に、時折教科書のページをめくる音が重なった。

 

それらが右から左へと流れていく中で、空気を求めて喘ぐ魚のように苦しげに口を開こうとする九龍を 見つめる皆守の、シャーペンを持つ手に力が篭った その瞬間。

 

「授業で先生に差されたけど予習してなくて 「……わかりません」 とか言っちゃってんだよ!チョーこえー〜〜〜ッッ!!!」

「〜〜〜〜〜っ、一生眠ってろ、バカ野郎ッッッ!」

 

 

えー、おあとがよろしいようで。

 

 

 

 「 九 龍 的 学 校 の 怪 談 」

 

 

 

 

 

もはやいつ上げたのか覚えていない
(たしか夏だったはず・・・・・・)拍手お礼SS。

これはペーパーにも載せたりしましたね、そういえば。